宮部みゆきの作家生活30周年作品はさすがの読み応えと面白さでした。
『この世の春』宮部みゆき
藩主の強制隠居、北関東の小藩で起きた政変は、ある「闇」を孕んでいた。
殺人鬼か。名君主か。
宮部みゆきの時代物はいい。独特の宮部節で、武士や町人の生活が重すぎず軽すぎず、リズムよく語られる。
作家生活30周年記念作とは期待せずにはいられない、読むのが楽しみで仕方ない。初めて読んだ宮部作品は確か『火車』、もう20年以上昔になる。
めちゃくちゃ面白くて、それからは既刊の本を読み漁り新刊が出ると必ず読む大好きな作家。
『この世の春』は、政権争いのどろどろした権力やお金の話が中心かと思ったら、メインは医療ミステリー、プラス異能力ネタ。
ただ重苦しい時代物のお家騒動ではなく、エンターテインメントとして面白く読ませてくれるのはさすが。
話の筋は早い段階であらかた想像はつくけど、それをどう描いてくれるのかとわかっても先を知りたい気持ちは止まらない。
久しぶりに読むのを止められない、寝不足になる作品でした。これからも宮部作品を楽しみにしてます。
『とるとだす』畠中恵
累計870万部突破!超人気シリーズ「しゃばけ」シリーズ第16弾。
こちらも時代物だけど、ほんわかほのぼのな若だんな成長記録。
毎回次から次へと、もめ事に巻き込まれる病弱な若だんな。今回も新しいキャラクターも登場してドタバタ劇の末、解決に導きます。
若だんなにまた新しい神様とのご縁ができたのも嬉しい。相変わらず、すぐに寝込むけどずいぶん頼もしくなったような気がする若だんな。しゃばけシリーズはずっと続いてほしいなー。
現在、コロナ騒動で自宅待機の友人息子(読書好きの今度中学生)にしゃばけシリーズをまるごと貸してあげました。
時代物を読むのは初めての彼が気に入るかな?感想を聞くのが楽しみです。ちなみに「八咫烏シリーズ」も一緒に貸しました。
『失われた過去と未来の犯罪』小林泰三
記憶力が失われた世界で奇妙な悲喜劇の幕が開く。
小林泰三と言えば思い出すのは衝撃のデビュー作「玩具修理者」
「パラサイト・イヴ」と同時に日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した作品で、どちらも理系ミステリーの先駆けと言える作品。
「玩具修理者」は今まで読んだことのない種類の不気味さが後々までずっと心に残る、短いけれど本当に印象的な作品でした。
「失われた過去と・・」も、その着眼点すごいなというのと、疑問を持ってもそれをテーマに一つの作品として書き抜いて仕上げるのがすごいなと思う。
「その人としてのアイデンティティ」「心はどこにあるのか」この作品を読むと確かにそうだよなとその答えに納得すると共に「生きる意味」が分からなくなる。
『誘拐遊戯』知念実希人
愛する人を救えるのか!?
現在、上映中の映画「仮面病棟」の原作者ということで、本屋さんに大きくコーナーができていたので手に取った。
他の作品読んでみて面白かったら「仮面病棟」読もうと思って「誘拐遊戯」を読んでみました。
残忍な誘拐・殺人犯に翻弄され続ける元刑事。面白がるようになぞ解きをさせ、あっちこっち奔走させる犯人の目的は何なのか?
次々起こる事件に次はどうなるのかと気になってどんどん読み進めてしまう。なかなか面白く読めました。
『i(アイ)』西加奈子
「絶対、世界にアイはある」と、この小説で叫びたい。
西加奈子、すごいな。
読み終わってしばらくは西加奈子によってこの世に生み出されたこの「i」という作品のパワーにぼんやりと浸ってました。
西加奈子はとても強くて愛に溢れた人だなと改めて実感。生きていてもいいんだ、幸せになってもいいんだと現代に生きるみんなに思わせてくれる優しくて力強い作品
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