ありがとう「つじベーカリー」56年目の閉店、高知老舗パン屋さんの思い出

高知市内、高知工業高校のすぐ隣にある創業56年となる老舗パン屋さん「つじベーカリー」

高知のみんなに長年愛されたパン屋さんが2017年11月末をもって閉店されました。

※2018年3月：つじベーカリーさんの後に入ったパン屋さん「だんだん」の事も追記しました※

閉店することはTwitterで知り、本当にびっくりしました。

これは、最後に1度行かねばならないと思い、仕事帰りに遠出してパンを買いに行ってきました。

つじベーカリー
1. つじベーカリー最終日前日
新しいパン屋さん

つじベーカリー

高知市百石町2丁目9-2

閉店されるのは、体力的な限界と後継者が居ないからということだそうです。そうですよね、もうかなりのお年ですものね。

さみしいけど仕方ありません。

私は以前、つじベーカリーの近くで一人暮らしをしていたことがあり、仕事帰りにしょっちゅう寄ってました。

営業は19：30までで、私が立ち寄る17時半くらいにはほとんどのパンが値引きになっていて、晩ごはん分、朝ごはん分とたくさん買ってたもんです。

つじベーカリーはとっても優しいご夫婦が経営されていて、だんなさんがパンを焼き、奥さんが接客。2人とも絵本に出て来るようなパン屋のご夫婦。

私は一度、つじベーカリーでサザエさん的失敗をしたことがありまして・・・。

パンをレジに持っていき、お金を払おうとすると・・あれ？！サイフが無い？！

まさかのかばんにサイフが入ってない！「あっ！！すいません！」さ、さいふが・・・でも、もうパン包んでくれてる・・・。

赤面しながら事情を話すと、おばちゃんが笑って「お金はまた今度でいいですよ」いや・・でも・・。と少し抵抗しましたが、カラカラと笑って「レシートに書いておくからまたいつでも持ってきて」と言ってくれます。

恥ずかしくて、嬉しくて、感動して、なんか泣きそうでした。

翌日すぐにお金を持っていくと「そんなにあわてなくても良かったのに、わざわざありがとうね～」とまた笑顔で迎えてくれました。

また別の日の思い出は、私がトレイとトングを持ってどのパンにしようか悩んでいると、おばちゃんが「はい、これ食べない？」とかわいらしいプチフール（一口サイズのケーキ）を片手にニコニコ笑ってます。

一瞬どういうことかよくわからなくて停止してると「あら、お嬢さんに失礼やったかねぇ、ごめんなさいね」いえいえ、お嬢さんでもないですし、むしろ嬉しいですし、ということでありがたく「あーん」と大口開けてケーキをいただきました。

もちろん私だけでなく、学校帰りの男子高校生などにも「あーん」としてるのを何度か目撃しました。

もう、なんて素敵な方たちなんだろう。

自分が親と衝突した時なんかに、つじのおじちゃんとおばちゃんの温かさに触れると「こんな人たちが自分の親だったら幸せだろうなぁ」と夢想したりもしました。

色々思い悩む一人暮らしの心の癒しスポットだったんですよねぇ。

もちろん、パンもおいしいですよ。素朴で昔ながらの優しいパン。

ケーキもお手頃価格でシンプルなものが多くて、私はアップルパイがお気に入りでした。

ワンホールのアップルパイは真ん中にちっちゃいリンゴが乗っかってて見た目もかわいい。友達のお家に行くとき何度か手土産に買ったなぁ。

つじベーカリー最終日前日

私が訪れたのは営業最終日の前日、11月29日18時近い時間。

まだパンあるかなぁと心配しながら到着すると、店の中には人がたくさん。そろっと入ってみると、高知工業の野球部らしき男子5，6人と奥には注文した食パンを取りに来た常連さん数人、イートインコーナーのテーブルに座る作業服の男性2人。

いろんな人から送られたであろう花束がそこかしこに何個か見えます。

棚のパンは見事にからっぽ。長期保存のきく個包装のバターケーキが何個か残っているのみ。

やはり、来るのが遅すぎたか・・・。

レジには大勢のお客さんの対応に追われる、おじちゃんとおばちゃんが見えました。

声を掛けることはできなかったけど、元気そうなお二人を見られてよかったです。

長い間みんなにおいしいパンを作ってくれてどうもありがとうございました。

≪追記≫

私のTwitterに何人かの方が返信してくれました。

三日月堂さんがつじベーカリーのお二人の心境コメントしてくれました。

高知市桟橋のつじベーカリー🍞56年の営業が明日最後の日を迎えます。
往復一時間半かけて行ったけど18時前についたら、全部売り切れ
遠目でも元気そうなおじちゃんとおばちゃん見れて良かった。
長年おいしいパンをありがとうございました。

— ねむり猫 (@nemurineko_cat) 2017年11月29日