『夜廻り猫』深谷かほる ただの猫マンガじゃない。心をつかんで優しく包む夜廻り猫

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マンガ

すごく泣ける猫まんがという噂は知ってた。観てないけどNHKで特集されたらしいし。

でも、「泣ける本」とかいうキャッチコピーでホントに泣けることってあまりないし、正直そんなに期待してなかった。

だって、4コマ、じゃなくて8コマでそんなに感動しないやろうって思ってたし。

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夜廻り猫

作者:深谷かほる
Webコミック・モアイで連載中
↓クリックしてサンプル読めます

それなのに、それなのに・・・・

過去最高に号泣してしまった。本当に涙ボロボロ、ひぐひぐ言いながら鼻かんで涙拭いて読んだもんね。

これは、いっきに2冊読むのは危険なので、1日少しずつ、5日かけて『夜廻り猫』2巻を読んだよ。

私はマンガは買わずにレンタル派だけど、ひっさしぶりに買って手元に置いておきたいと思うマンガに出会えた。

知らなかったけど、第21回(2017年)手塚治虫文化賞の短編賞を受賞してたんだって、納得。

涙の匂いをかぎとってやってくる夜廻り猫の遠藤平蔵

大きな灰色猫で頭にいつも缶詰を乗せている。缶詰はたまに空腹の子猫にあげたりするみたい、アンパンマンの顔と同じだね。

野良猫なので温かい寝床は無く、ご飯をくれる飼い主もいない。

寒さに震えながら空腹でグルグルお腹がなっているのに、泣いてる人のために夜廻りする平蔵。

色んな人の色んな涙にそっと寄り添ってくれる平蔵。

魔法が使えるわけじゃないので(しゃべれるけど)悩み事を一気に解決とかしてくれるわけじゃない。

ただ話を聞いて寄り添ってくれるお前だって大変なのに優しく寄り添ってくれる。

どうしてここまで優しくなれるのか。自分は食べずに食べ物をあげちゃうの。

お魚もらったら一人で、いや一匹で食べずに仲間と分け合って食べる平蔵。

平蔵の寄り添う人(や動物)の周りには、腹立たしいくらいひどい人も居るけれど、優しくて強い人も居る。

誰かのせいではない残酷な現実があったり、人の悪意に押しつぶされそうな事があったり、みんなみんな一生懸命生きている。

 

自分にも色々あって嬉しいことも辛いことも楽しいことも憂鬱なこともあるけれど、私のところには平蔵は来てくれなくても大丈夫だよ、もっと本当にしんどい人のところに行ってあげてね。

でも、平蔵が疲れた時に来てくれたら、ねこまんまと牛乳あげたいな、ふわふわの重郎も触ってみたいなぁ。

 

今宵も日本のどこかで「夜廻り猫」という小さな奇跡が起きてたらいいな。

そして、自分もいつか出会えたらいいな。と、ポエムちっくに感想を綴ってしまったい。

私の好きな第10話

私が最初に涙出たのが、10話目の「覚えておきます」というタイトルのお話。

近所に住む父子家庭の男の子が毎朝自宅前を通るのを掃き掃除をしながら静かに見守る女性。

小さい頃はお父さんにだっこされて、手を引かれて、そのうち一人でランドセルをしょって、反抗期になって、オシャレに気を使うようになって。

男の子はどんどん大きくなり、女性は年老いていく。今ではベッドに寝たきりで窓から男の子が仕事に行く姿を見送ることしかできない。

そこまでセリフは一言もなく、最後の2コマに平蔵がベッドで眠るおばあさんに語りかける

「名前も知らないあの子にあなたは言ってた「おはよう いってらっしゃい 元気でね」23年間毎日、心の中で。」

「私は覚えておきます たとえあなたが忘れても。私は覚えておきます。」

 涙ボロボロボローなにこれ、なんか涙止まらないんですけど。

8コマしかなくて、色もついてなくて、シンプルな絵なのに女性の表情がすごくいいの。

あの男の子はこんなにも温かく見守ってくれていた存在に気づくことも無いんだな、女性はもしかして自分の子どもに恵まれなかったのかしら?

あんなに愛情深く見守り続けたのにとうとう声を掛けることはなかったんだね、そして年老いた女性の脳細胞はそんな男の子の存在すら覚えていることができなくなっている。

でもそこに確かにあった温かい心の動き、男の子は気づかなくても、女性が忘れてしまっても、夜廻り猫がそのことを覚えていてくれる。

こっから涙腺崩壊して泣けて泣けて仕方なかったね。なんか、やられる。

そういえば、お話の中で登場人物(猫含む)が東北弁らしき言葉を使ってることがよくあるんだよね。

しかもちゃんとコマの隙間に意訳付き。作者の深谷かほるさんは東北の方なのかしら?と思ったら福島出身なんだね。

じゃああれは福島弁なのか、寒い地方の言葉は温かい感じがして、このお話にはぴったり。

深谷かほるさんの作品、読んだことなかったんだけど『カンナさーん!』を書いた人だったんだね!

2017年7月に渡辺直美さん主演でドラマ化、もうすぐ始まる、こうなったら観てみたい。

ちなみに表紙の写真はうちの白猫モモちゃんです。死にそうだった捨てられた子猫に、我慢できずニボシをあげたら、いつの間にか一緒に暮らすことになりました。

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